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貸切バスの運賃・料金制度2014-06-06
国土交通省では、高速ツアーバス事故で浮き彫りになった貸切バス市場の構造的な問題の改善の一環として、平成26年4月1日より新たな貸切バスの運賃・料金制度を実施しました。
新しい貸切バス運賃・料金制度とは
貸切バス事業の経営には人件費、燃料費、車両点検修繕費、保険料等の経費がかかります。新しい運賃・料金制度は、貸切バス事業者がこれらの安全にも関わるコストを適切に反映した運賃・料金を収受することにより、安全・安心な貸切バスによる輸送サービスの提供を確保することを目的としています。
※人件費 法令により運行管理者・運転者の適切な雇用が義務づけられています。
運転者の日雇い等は禁止されています。
※燃料費 高騰しています(過去10年で軽油約70%、ガソリン50%以上の値上がり)。
※時間制運賃とキロ制運賃を合算して計算します。
※ 運賃・料金の単価 ・上記の表の上限額と下限額の間で設定します。
※ 計算の条件 ・走行時間は出庫から帰庫までの時間で待機・回送時間を含みます。 ・運賃・料金算出時間には出庫前・宿泊場所出発前及び帰庫後・宿泊場所到着後の運転者へ の点呼、車両の点検 時間として1時間づつ合計2時間が加算されます。 ・運賃・料金算出時間は30分未満切り捨て、30分以上は1時間に切上げます。 ・走行キロは合計距離の10㎞未満を10㎞に切り上げます。
※ 交替運転者配置料金 ・実車距離が昼間500㎞夜間400㎞を超える場合には交替運転者配置料金が加算されます。
貸切バスの法改正2013-08-01
平成24年4月29日に発生した関越自動車道における高速ツアーバス事故を受けて、国土交通省は、新たに高速乗合バスの交替運転者の配置基準を定めるとともに、貸切バスの交替運転者の配置基準を改正しました。
これらの配置基準は、平成25年8月1日(一部は平成26年1月1日)から適用されます。
荒っぽく言ってしまうと、
ワンマンで運転できるのは、ハンドルを握っている時間が1日9時間まで、又は500キロまで。
しかも車庫から出発してから車庫に戻るまでの時間と距離のことです。
これを超える場合は乗務員が2名体制となります。
基準概要
これまで、勤務時間等基準告示で定められた条件を超えて引き続き運行する場合は交替運転者が必要としておりましたが、今後は、これらに加え、以下の交替運転者の配置基準も遵守する必要があります。
これまでの「交替運転者の配置基準」
勤務時間等基準告示で定められた次のような条件を超えて引き続き運行する場合は交替運転者が必要
(イ)拘束時間が16時間を超える場合
(口)運転時間が2日を平均して1日9時間を超える場合
(ハ)連続運転時間が4時間を超える場合※上記の基準は、今後も引き続き適用されます
※一般貸切旅客自動車運送事業に係る乗務の乗務距離の上限(670km)は廃止
これからは上記に加え
昼間・夜間、一運行、1日の考え方
交替運転者の配置基準では、夜間及び昼間の一運行の距離・時間と1日の距離・時間について基準を定めています。ここでは、夜間・昼間、1運行、及び1日の考え方について以下のとおり、整理しています。
(1)昼間・夜間の考え方
夜間ワンマン運行・昼間ワンマン運行の定義は以下のとおりです。
夜間ワンマン運行:最初の旅客が乗車する時刻若しくは最後の旅客が降車する時刻(運転を交替する場合にあっては実車運行を開始する時刻若しくは実車運行を終了する時刻)が午前2時から午前4時までの間にあるワンマン運行又は当該時刻をまたぐワンマン運行をいう。
昼間ワンマン運行:夜間ワンマン運行に該当しないワンマン運行をいう。
(2)一運行の考え方
一運行の定義は以下のとおりです。
一運行:1人の運転者の1日の乗務のうち、回送運行を含む運転を開始してから運転を終了するまでの一連の乗務を一運行という。ただし、1人の運転者が1日に2つ以上の実車運行に乗務し、その間に連続1時間以上の休憩を確保する場合であって、当該休憩の直前及び直後に回送運行があるときには、当該休憩の前後の実車運行はそれぞれ別の運行とする。なお、1人の運転者が同じ1日の乗務の中で2つの夜間ワンマン運行に連続して乗務する場合には、運行と運行の間に連続1時間以上の休憩を挟んでいても、これらの連続する運行を合わせて1つの夜間ワンマン運行とみなす。
距離による基準の考え方
(1)実車運行等の定義について
実車運行等の定義は以下のとおりです。
実車運行:旅客の乗車の有無に関わらず、旅客の乗車が可能として設定した区間の運行をいい、回送運行は実車運行には含まない。
実車距離:実車運行する区間(以下単に「実車運行区間」という。)の距離をいう。
一運行の実車距離:1人の運転者が一運行で運転する実車距離をいう。
1日の合計実車距離:1人の運転者が1日の乗務で運転する実車距離の合計をいう。
(2)昼間ワンマン運行の一運行の実車距離について
昼間ワンマン運行の一運行の実車距離は、500km(当該運行の実車運行区間の途中に合計1時間以上(分割する場合は、1回連続20分以上)の休憩を確保している場合にあっては、600km)を超えないものとします。※なお、500kmを超える運行等を行う場合には、乗務中の体調報告が必要になりますので、これらについては本解説書の16ページをご参照下さい。
①昼間ワンマン運行の一運行の実車距離は原則500kmを超えてはいけません。
②ただし、昼間ワンマン運行の実車運行区間の途中に合計1時間以上の休憩(分割する場合は、1回連続20分以上)を確保している場合は600kmまで昼間ワンマン運行を行うことが可能です。
○実車運行の途中に1時間のまとまった休憩
○実車運行の途中に1回連続20分以上で合計1時間の休憩
運転時間による基準の考え方
(1)運転時間の定義について
運転の定義は以下のとおりです。一運行の運転時間:1人の運転者が回送運行を含む一運行で運転する時間をいう。1日の運転時間:1人の運転者が回送運行を含む1日の乗務で運転する時間をいう。
(2)昼間ワンマン運行の一運行の運転時間について
昼間ワンマン運行の一運行の運転時間は、運行指示書上、9時間を超えないものとする。ただし、1週間当たり2回まで、これを運行指示書上、10時間までとすることができるものとします。
※ここでいう「運行指示書上」とは、引き受けた運送の内容に基づき、運転者に対して運行指示書により、運転時間が9時間を超えない運行の指示がなされている状態をいいます。
したがって、運送を引き受けた時点で、昼間運行の運転時間が10時間を超えることが明らかな場合には、その運送を引き受ける時点で交替運転者の配置が必要であるとの判断をしなければいけません。
また、運転時間が9時間を超えるため、勤務時間等基準告示(1日の運転時間は2日平均で9時間)に違反しないよう、注意が必要です。